SaGAMeC通信 第2024.09号(2024年09月01日 発信)
獣医師通信
まだまだ暑い日が続きます。
飲水の管理や空調の管理を徹底し、熱中症等に対して油断しないようにしましょう。
看護師通信
季節の変わり目が近づいてきました。
寒暖差や気圧の変化により、ワンちゃんネコちゃんも体調を崩してしまうことがあるため体調の変化に気を付けてください。
獣医師コラム
【フェレットのインスリノーマ】
〇インスリノーマとは?
中高齢のフェレットで最も認められる病気の一つであり、副腎腫瘍・リンパ腫と並んでフェレットの三大腫瘍としても有名な病気です。
インスリノーマは膵臓にできる腫瘍であり、膵臓で作られるインスリン(血糖値を下げるホルモン)を過剰に分泌することで低血糖状態を引き起こし、ふらつきや震えの症状を引き起こします。4歳くらいからの発症が多く2歳ほどの若齢の発症報告もあるようです。また、遺伝的要因と環境因子も発症原因の一つとして挙げられます。
フェレットのインスリノーマは、完治はしませんが適切な治療を行い、血糖値をコントロールし生活に支障のない範囲で管理できれば長期的な生存も可能な場合があります。
〇症状
低血糖からくるふらつき、震え、涎を垂れる、食欲不振や体重減少などの症状で来院されることが多いです。重度の低血糖を繰り返すと痙攣発作、昏睡を引き起こし死亡する場合もあります。慢性経過のフェレットは低血糖状態に慣れており耐性があるため長期間の低血糖状態でも症状がない場合もあるため定期的な健康チェックとして血液検査を行うことが早期発見につながります。
〇検査方法
血液検査で血糖値を測定し低血糖状態になっていないかを確認します。またほかの病気でも二次的に低血糖を引き起こしている場合があるので他の病気の除外検査として超音波検査やレントゲン検査を行います。血糖値は食前食後で大きく変動するため、インスリノーマが疑わしい患者さんは一度の測定ではなく数回での血液検査が必要になります。
〇治療方法
治療は、根治や血糖値の安定化を図るのではなく低血糖による症状の発現を最小限に抑えることを目的として行います。自宅でできる管理方法は、温度管理や運動を制限し急激な低血糖状態にならないように徹底してもらい、高たんぱく質の給餌を行い一定の血糖値を維持できるようにします。低血糖状態になりやすい運動後や睡眠からの覚醒後、食欲がなく食事をとらない場合は流動食を与えてもらいます。急激な糖類の過剰投与は血糖値を急激に上昇させる為かえってインスリンの分泌を促進させるため日常での使用は控えます。
・外科療法
上記のような自宅管理だけでは症状が抑えられず痙攣発作等を起こしている場合に実施します。
開腹化で直接膵臓を蝕知し腫瘍の大きさ、個数、場所を確認します。腫瘍が単独や数個結節性に出来ている場合は腫瘍結節の切除を行い、び漫性(膵臓全体に腫瘍が広がっているような場合)に結節がある場合は膵臓の部分的な切除を行います。進行性の腫瘍であるので手術による根治はできませんが多くの場合外科を行うことで症状の改善や投薬の量を減らすことができます。
・内科療法
外科が選択できない場合の適応で、上記のような自宅で行う管理とともに食事療法やプレドニン(ステロイドホルモンの一種で血糖値を上昇させる効果がある)を使用します。しかしながらプレドニンには副作用もあり、肥満、脱毛、免疫低下、心臓・肝疾患の悪化を引き起こすため定期的な通院による副作用のチェックが必要となります。
結論として、インスリノーマは深刻な病気の一つであり、早期発見と適切な治療が必要になり、獣医師と相談しながらその子にあった最適な治療選択していくことが重要です。
また、フェレットの健康診断や血液検査について相談がある場合は当院のスタッフにお気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。
小坂 由紀
トリマー通信
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