SaGAMeC通信 第202206号(2022年06月01日 発信)
獣医師通信
6月に入り、天候が乱れやすい季節となりました。
この時期はワンちゃんやネコちゃんも体調を崩すことが多くなります。
些細な体調の変化でも気になることがありましたら、来院をお勧め致しております。
看護師通信
梅雨の時期になってきましたね。
ワンちゃんはこの時期に皮膚の感染症が発生しやすいので、皮膚の痒みやフケが気になるときはお気軽にご相談下さい。
獣医師コラム
尿管結石による尿管閉塞

尿管結石症は、近年増加してきている泌尿器疾患の一つです。その理由としては,純血種の猫の飼育頭数が増えてきているからだと考えられます。猫の尿管結石の90%はシュウ酸カルシウムであるといわれていますが、シュウ酸カルシウム結石が形成される原因には遺伝的要因が大きく影響しているからです。またシュウ酸カルシウム結石は内科療法で溶かすことができません。
尿管閉塞とは、尿管結石などが尿管で閉塞を起こしている状態です。尿管が閉塞すると、腎臓から尿が排出できないので、腎臓内に尿が貯留します。貯留した尿に腎臓組織が圧迫されるため、急速に腎障害が進行します。早急に閉塞が解除されなければ、腎機能は不可逆的に失われ、閉塞を起こした腎臓は腎機能不全に陥ります。腎臓は左右二つあるため、片方の腎臓に尿管閉塞が起きても症状が軽度なことが多いです。しかし早急に治療しなければ、二つしかない腎臓のうち、一つを機能的に失うことになります。すでに片方の腎臓の機能が失われている場合や、両側同時に尿管閉塞が起きた場合は、非常に重篤な症状を呈します。早急に治療を行わなければ急性腎不全に陥り、死に至ります。

・診断
尿管閉塞の有無を診断するには超音波検査が最も有用です。そして尿管閉塞の原因を診断するにはCT検査が最も有用です。
・ACVIM(アメリカ獣医内科学学会)の治療指針
尿管閉塞は迅速な治療が必要である。尿管結石による閉塞に対する内科治療はほとんど効果がなく、猫においてはSUBシステム(腎臓-膀胱バイパス術)または尿管ステントを用いた外科治療が推奨される。
・私の治療方針
基本的な治療方針はACVIMと同じですが、外科治療の術式の選択は少し違います。猫において推奨されている、SUBシステムや尿管ステントなどの人工カテーテルは、感染のリスクが上がるため長期間の管理には向いていない、と考えているからです。したがって、症例が高齢で再手術を避けたい症例以外は、人工物を用いずに、尿管の再建を行なっています。手術時にC T検査を行うことで結石の詳細な位置が特定されれば、尿管切開術は最小限の手術侵襲で結石を除去することが可能です。ではなぜアメリカではSUBシステムを行う施設が多いのでしょうか。おそらく技術的に容易で手術が短時間で終わるからだと考えています。しかし下記の表のように、SUBシステムには欠点が多く費用も高額なため、当センターでは最終手段として用いています。日本では尿管の再建を行う獣医師が多いと感じています。それは、日本人は手先が器用だから、ではないでしょうか。
院長 大川雄一郎
トリマー通信
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