獣医師コラム
糖尿病の診断について
天気や自然の移り変わりに、季節の変化を感じることができるようになりました。雨が続く日も多くなっていますが、わんちゃんや猫ちゃんといかがお過ごしでしょうか。
さて、当院では2018年3月にIDEXX LABORATORIESから発売された血液検査の「フルクトサミン試薬スライド」をいち早く導入致しました。「フルクトサミン」は、動物医療で国際的に多くのエビデンスを持つ血糖値マーカーであり、糖尿病の診断・モニタリングが可能です。糖尿病の正確な診断/モニタリングには、血糖値に加え長期間の血糖値の変化を測るマーカーが有用であり、「フルクトサミン」は、わんちゃん・猫ちゃんの過去2~3週間の血糖値を反映しています。今までは外注検査を行い、結果をお伝えするのにお時間を頂いておりましたが、「フルクトサミン」を導入したことで、院内で簡便に検査ができるようになりました。
わんちゃんや猫ちゃんの糖尿病は、多飲多尿・体重減少といった典型的な症状と空腹時の高血糖(猫では持続的な空腹時高血糖)と尿中に血糖が出てしまう尿糖陽性といった3項目が揃えば糖尿病ということになります。糖尿病の原因となる基礎疾患が隠れている可能性や、糖尿病によって重篤な合併症が起きてしまうこともあります。糖尿病の治療目標は、多飲多尿の改善や合併症の予防であり、そのために、食事療法や適度な運動、インスリン治療が必要となります。
そして、糖尿病の重症度の診断や治療効果を評価するためには、前述した通り、過去2~3週間の血糖値を反映している「フルクトサミン」の測定が重要となってきます。この検査が院内で行えるようになり、治療を見直して、その場でインスリン量等を相談することが可能となったため、わんちゃんや猫ちゃん、オーナーの皆様にとっても安心の検査だと思います。
糖尿病に関してお困りのことや、気になることがありましたらお気軽にご相談ください。
石原裕美