獣医師コラム
【SDMAについて】
SDMAは腎機能を評価するための項目であり、日本では2016年7月からIDEXXで検査されるようになった血液検査項目です。従来の血液検査項目Cre(クレアチニン)だけでは、腎臓の75%以上の機能が失われていないと異常値は認められませんが、SDMAは腎機能の異常を早期に発見できるとされています。Creと比べてSDMAは犬だと9.8ヶ月、猫だと17ヶ月早く腎臓病を発見できると言われています。
SDMAとは、対象性ジメチルアルギニンの略であり、アミノ酸の一種であるアルギニンがメチル化したものです。血液中に放出されたSDMAは、ほとんどが腎臓でろ過され、尿中に放出されます。腎臓の機能は腎臓での血液のろ過量と同等であることから、本来ろ過されるはずのものが血液中に多いことは腎臓の機能が低下していることを表します。また、Creは筋肉量に影響を受けやすく、慢性腎不全で食欲が落ちて体重が落ちた子とかでは病態を過小評価したりすることもあるので、SDMAの方がCreよりも腎機能を適切に評価できます。
臨床の現場でSDMAは慢性腎臓病のステージ分類の一環で使用されます。慢性腎臓病のステージ分類でよく使われるのがIRIS分類です。IRISとは犬猫の腎臓病に対する診断、理解、治療方法を向上させること目標に活動している団体で、日本では国際獣医腎臓病研究グループと呼ばれています。下図にIRISのステージ分類を載せています。今回は分類の所だけを抜粋させてもらっています。慢性腎臓病の治療内容は獣医師と相談しながら進めていくのが一番よいと思われます。参考までにIRISの慢性腎臓病の診断とステージ分類および治療内容が書かれているサイトのURLを載せておきます。気になる人は是非、調べてみて下さい。
URL https://www.idexx.co.jp/ja/veterinary/reference-laboratories/sdma/sdma-iris/
参考文献 IRIS CKD ガイドライン
長崎 健人