獣医師コラム
わんちゃんと飼い主は似ているという話をよく耳にします。実際、実感されている飼い主様も多いかと思われます。実は自分もその一人です…そこで今回はそのような内容を研究した論文がありましたのでご紹介したいと思います。
1681頭のわんちゃんとその飼い主様にてワンちゃんの性格と飼い主様の性格の類似性と犬の疾患との関連、飼い主様の生活の質についてアメリカの獣医師が研究を行いました。この研究では1.5歳齢から16歳齢(平均6.4歳齢)までのわんちゃんとその飼い主様を組み入れ、性格に関連する心理学アンケートを実施しました。
○わんちゃんの性格について
質問は以下の5つの性格特性に分け、合計45項目で、各質問に対して7段階(1:強く否定~7:強く同意)で回答してもらい、それぞれの種類の平均値を算出しました。
1.恐怖に対する反応
2.ヒトに対する攻撃性
3.活動性
4.しつけに対する従順性
5.他の動物に対する攻撃性
○飼い主様の性格について
質問は以下の5つの性格特性に分け、合計60項目で、各質問に対して5段階(1:強く否定~5:強く同意)で回答してもらい、それぞれの種類の平均値を算出しました。
1.外向性
2.協調性
3.統制性:完全主義、達成意欲がつよいか
4.負の感情性:ネガティブな感情を抱きやすいか
5.開放性:物事に対する好奇心
以下のような結果が得られました。
・外向性の高い飼い主様のわんちゃんは活動性はより高い。
・協調性や開放性の高い飼い主様のわんちゃんは恐怖に対する反応が少なく、活動性が高く、ヒトへの攻撃性が低かった。
・統制性の高い飼い主様のわんちゃんはしつけに対する従順性が高かった。
・負の感情性が高い飼い主様のわんちゃんは恐怖に対して敏感であり、しつけに対する従順性が低かった。
これらの結果より飼い主様の性格と犬の性格には類似性が認められたと報告されています。
Journal of Research in Personality. Volume 79. 2019
中田 智裕