獣医師コラム
犬と猫の発情の見分け方
新しくワンちゃんやネコちゃんを迎え入れた飼い主さんに、犬や猫の発情の見分け方を聞かれることがあります。発情とは、雌が交配のために雄を許容する状態を指します。犬も猫も、初回発情前に避妊手術を行うと乳腺腫瘍の発生リスクが低くなることが分かっているため、発情が来ていないかご自宅で確認してもらうことが重要になります。そこで今回は、犬と猫の発情のときに見られる特徴をご紹介します。
○犬の発情
発情の初めには外陰部が大きくなり充血し、陰部からの出血が発情前期開始の目印となります。この時期は落ち着きがなく、飲水や排尿回数が多くなります。出血の続く日数は3~27日(平均8日)と個体によりかなりの幅があります。発情出血は最初、赤褐色でややドロっとしていますが、次第に量が増えて赤色で水っぽくなります。その後出血量も減り薄ピンクになりますが、多くは発情期が終わるまで続きます。
発情期は雄犬に交尾を許す時期で5~20日(平均10日)で、この時期に雄犬が近づくと尾を上げて左右どちらかにずらします。
○猫の発情
犬のような明らかな外陰部の腫れ・充血、陰部からの出血はなく、特徴的な行動をします。奇声のような鳴き声を発しながら頭や体を身近なものにすりつけたり、床を転げ回ったりします。また、腰を低くして足踏みをするロードシスという行動をします。発情期間は短いものは数日、長いものは20日以上に及びます。
犬は生後約6~15ヶ月で性成熟し、初回発情を迎えます。小型犬は大型犬に比べて成熟体重に達するのが早いため、発情が始まるのも早いです。性成熟に達した犬は年に1,2回発情が来ます。一方、猫では品種や生まれた季節により性成熟の時期が異なりますが、通常生後約6~9ヶ月で初回発情を迎えます。シャム猫は生後5ヶ月以前に初回発情を示すこともあり、逆に長毛種の猫は性成熟に1年以上かかることもあります。猫の発情周期は不規則で日照時間による影響を受けるため、室内飼いの猫は年中発情が来る可能性があります。
ご家庭のワンちゃんやネコちゃんが発情を迎える時期や避妊手術を検討される際には、上記の特徴を参考にしてみて下さい。
原 祐菜