SaGAMeC通信 第202310号(2023年10月02日 発信)
獣医師通信
10月に入ったとはいえ気温の高い日が見られます。
気象予報等を参考に暑い日は空調等により室温管理を怠らないようにしましょう。
看護師通信
日が短くなり、秋の涼しさも感じられる季節となりました。
10月は、気温の変化が激しい月です。
急激な温度変化は動物たちにとっても、体調不良の原因となります。
下痢をしやすくなったり、体温維持によるエネルギー消費で体力が低下してしまったりと、体に負担がかかります。
こまめに天気予報を確認し、一定の温度を保つよう心がけましょう!
獣医師コラム
眼科の救急疾患 眼球突出(脱出)

眼科疾患には発症後に的確な診断と適切な治療を施さないと、失明してしまう病気が複数存在します。有名なものとしては緑内障があり、眼圧の高い状態が48時間以上続いてしまうと、そこから治療をしても視神経に障害が出ると言われていて、視覚回復の見込みが低くなります。

様々な緊急的な病気がある中で、視診(外貌)だけで診断のできる病気もあり、眼球突出(脱出)と言うものがあります。
眼球突出(脱出)は、強い鈍的な外傷を受けることで眼球が正常な位置から飛び出てしまう病気です。ワンちゃんの場合はボストンテリアやパグ、ペキニーズ等の短頭種に起こりやすく、頭を軽くぶつけたり押さえたりする位の衝撃で飛び出ることもありますが、ネコちゃんの場合には交通事故等の強い衝撃で飛び出てしまいます。

治療方法は単純で、外科手術で眼球を正常な位置に戻してあげることです。全身麻酔をかけて眼球を正常な位置に戻した後に、眼瞼縫合(瞼を縫い合わせる)を行い再度飛び出さないようにします。2~3週間後に抜糸を行い、視覚の評価を行います。飛び出してから時間が経過している場合や対光反射がない場合、強い衝撃を受けて目のダメージが強い場合(出血や斜視を起こしている)は眼球を正常な位置に戻しても見えるようになる可能性は低いと言われています。
手術をしたとしても見えるようになる見込みが低い状態の眼に関しては、外見の問題や飛び出している眼が感染してしまう可能性、角膜に穴が開いてしまう可能性を考慮して、眼球摘出を選択しないといけない場合もあります。

2020年に報告された論文(Pe’er、 Oren、 Liron Oron、and Ron Ofri .  Prognostic indicators and  outcome in dogs undergoing temporary tarsorrhaphy following traumatic proptosis. Veterinary ophthalmology 23.2 (2020): 245-251.)では、眼球突出(脱出)を起こした動物に眼瞼縫合の手術を行ったことで、約30%の動物で術後も視覚を維持することができたとの報告がありました。ただし、事前の視覚の有無や眼球の状態を細かく評価し、手術をすることで視覚を維持できるかの判断は重要となります。理由としては、短期的に視覚回復ができたとしても、長期的な合併症が生じる可能性を考慮した場合に眼球摘出手術が必要となることもあり、再度全身麻酔の手術を受けないといけない可能性もあるためです。
眼球突出(脱出)は見た目が痛々しく、その状態を目撃した飼い主様はかなり驚かれるかと思います。眼科救急ではいかに視覚を保ってあげるかが重要となりますが、発見したときには手遅れになっていることも少なくありません。ただ、なるべく早く連れて来て頂くことで、視覚を維持することが可能な治療をご提案できるかもしれません。
眼の状態、年齢、治療中の病気の有無など、動物により様々なシチュエーションがあるかと思われます。眼が見えていなくても眼球は温存してあげたいと希望される方もいるかもしれません。

我々としては、しっかりとした事前の検査とインフォームドコンセントを行い、飼い主様の希望に寄り添った治療をご提案できればと思っております。
何かお困りのことがありましたら、お気軽にご相談下さい。
獣医師 中島昂輝
トリマー通信
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原田もなちゃん
長澤陽乃ちゃん
薬師寺リクくん
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