SaGAMeC通信 第202009号(2020年09月01日 発信)
獣医師通信
残暑も和らぎ、ようやくしのぎやすい季節となりました。
季節の変り目はわんちゃん、ねこちゃんも人と同じように体調を崩しやすいとされています。
ちょっとした変化でも時間の経過とともに重症化してしまうこともあるので、少しでも気になることがありましたらお気軽にご相談下さい。
看護師通信
今年の狂犬病の予防接種はお済みでしょうか。
新型コロナウイルスの影響もあり、市区町村によって接種の義務期日が異なりますが、まだお済みでない方はわんちゃんの元気食欲がある日にお早めにお越し下さい。
ご不明な点がございましたらお気軽にスタッフまでお問い合わせ下さい。
獣医師コラム
【環椎軸椎不安定症・環椎軸椎亜脱臼】
環椎軸椎不安定症とは:頸椎のうち第1頸椎を環椎、第2頸椎を軸椎といいます。環軸関節とは、第1頸椎と第2頸椎からなる関節であり、第2頸椎から頭側へ伸びる歯突起と靭帯により安定性が保たれています。この関節の不安定性により椎体が亜脱臼を起こし、脊髄が圧迫を受けます。多くは先天的な原因で、歯突起が欠損していたり、形が異常であったり、靭帯が形成されていないなどです。後天的な原因としては外傷による歯突起などの骨折があります。先天的な場合、通常は1歳未満で初期症状を示します。しかしながら軽症の場合は、中高齢になって症状が強くなり診断されることもあります。小型犬、特にヨークシャテリア、チワワ、トイプードル、ポメラニアンでの発症が多いと言われています。
症状:脱臼した頸椎が脊髄を圧迫することで症状を引き起こします。軽度の場合は頭部を動かすと激しい痛みを感じ、頭部を触られることを嫌がります。また足のふらつき、転倒が多くみられます。重度の場合は四肢の麻痺による起立困難や排尿障害が起こります。さらに、損傷を受ける脊髄が延髄に近い部分であるため呼吸困難、そして急死が起こり得ます。
診断:ほとんどの場合は神経学的検査とレントゲン検査で診断することが可能です。さらに当院ではCT検査を行っています。CT検査では環椎軸椎不安定症だけでなく、後頭部や頸椎に他の奇形を併発していないかを確認します。また、手術をより安全に行うために、骨の形や大きさなどの情報を正確に得ることができます。
治療
内科療法:鎮痛剤とネックブレース(装具)を併用し疼痛緩和を行います。症状が軽度な場合には、改善が見られる事がありますが、再発あるいは悪化する事が懸念されます。したがって完治は期待できません。
外科療法:第1頸椎と第2頸椎の亜脱臼を整復した状態で固定することにより、脊髄が圧迫されないようにします。術式は背側固定術と腹側固定術がありますが、現在は腹側固定術が推奨されており、当院においても腹側固定術を実施し、良好な成績を収めております。他の神経外科手術よりも、特に熟練された技術が必要とされますが、命に係わる状態から治癒するために最も推奨されている手術です。
腹側椎体固定術:第1頸椎と第2頸椎の関節軟骨を削り取り、そこに上腕骨から採取した海綿骨を移植します。そして第1頸椎と第2頸椎の亜脱臼を整復した状態で、6~8本のピンを第1頸椎と第2頸椎に打ち込み、骨セメントで全てのピンを固定します。これにより第1頸椎と第2頸椎が一つの骨として癒合することになります。術後は骨同士が癒合するまでの間(一般的に8週間)、安静が必要です。
院長 大川雄一郎
トリマー通信
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