獣医師コラム
人ではワイル病や秋疫(あきやみ)と呼ばれる病気です。人間を含む様々な動物に感染するため、人獣共通感染症の1種類になります。病原体はらせん菌に分類され、病原性を持つ種類と持たない種類がありますが、250以上の血清型が確認されています。
最近の日本国内における発生は、6月に東京都の昭島市での届出があり、感染の報告があったワンちゃんはその後亡くなったそうです。以前は西日本中心の病気でしたが、北海道や関東地域での報告も増えているため、とても身近な病気になりつつあります。以下は飼い主様に知って頂きたいレプトスピラ症の特徴を簡潔に
まとめました。
【感染経路】
ネズミが菌を持っていて、尿に菌が排出され、水中を介して感染します。
【症状】
臨床症状:食欲や活動性の低下、発熱や黄疸、血尿や血便
臨床検査:肝障害、急性腎不全、血栓症、DIC
【治療】
抗生剤による治療と、腎臓や肝臓に対する対処療法。
様々な報告がありますが、致死率は50~60%と非常に高い病気です。水に関連する場所(水田や河川)に行ったり、出来事(洪水など)が起きたりすることでネズミの尿に汚染される危険性があります。
ワンちゃん同士での感染も起こるため、ドッグラン等で他のワンちゃんと接触する場合も注意が必要です。
レプトスピラ症はワクチンで予防できる病気です。混合ワクチンを打つことで、ワンちゃんの病気の予防だけでなく、人間に感染する危険性も回避できます。レプトスピラ症の予防ができるワクチンの種類などはスタッフにお尋ね下さい。
中島昂輝